拠点の特徴
研究概要
有機EL はディスプレイで普及が始まっています。その特徴は高画質だけでなく、フレキシブル・透明・印刷化が可能な点です。硯里研究室では、有機EL のフレキシブル化、低コスト・ウェットプロセス化の研究を行っています。特にウェットプロセスによるハイバリア技術の研究は有機ELだけでなく、広い産業で活用できます。
研究者からのコメント
当研究室は、世界初のウェット・ハイバリア技術に加え、最大200mm角のフレキシブル有機ELパネルを作製する技術を保有しています。大学発の最先端技術の研究を進めながら、産業応用のための研究まで広い研究範囲をカバーしていることが当研究室の特徴です。
研究実績
- 透明・フレキシブル有機ELパネル(NHKおはよう山形放映)
- 世界最高レベル・ウェットプロセスによるハイバリア技術
(代表論文:ACS Appl. Mater. Interfaces ,11(46),43425-43432(2019))
参考URL
http://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/suzuri-lab/ (研究室URL) https://www.youtube.com/channel/UCjzETQGWdCLIfhmZn8giEog/videos (研究室 Youtubeチャネル)
研究概要
無機膜、有機膜を微細形状に形成し新たなデバイスを創出する機能性薄膜デバイスの研究開発を進めています。デバイスに適した材料開発、作製プロセスの開発、評価、解析まで行います。微細なパターニングはフォトリソグラフィーの他、塗布・印刷技術を用いることが可能で、プリンテッドエレクトロニクスへの展開も積極的に推進しています。
研究者からのコメント
企業が開発した材料や技術と私達が有する特殊な設備や技術、知見を融合して、早急に機能性デバイスに応用展開する開発を協力して進めます。企業の新規事業展開が順調に進むサポートを行います。
研究実績
- フレキシブル有機ELディスプレイ
- 有機トランジスタを用いたディスプレイ用バックプレーン
- 移動度15㎠/Vsを有する高性能有機トランジスタ
- 有機トランジスタをスイッチング回路として用いた無機ELディスプレイ
- 有機トランジスタを用いたオーディオアンプ
- 有機トランジスタを用いた高速論理回路
- フォトリソグラフィーと同等品位な無機膜、有機膜の印刷パターン
参考URL
https://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/research-group/ (INOELホームページ研究グループ紹介ページ)
研究概要
軽く、しなやか、透明性、有機色素の発色によるデザイン性、弱い光にも反応する起電力など、これまでにない特長を有した有機太陽電池の開発を行っています。有機薄膜太陽電池、高効率なペロブスカイト太陽電池、透明デバイス技術、タンデム化技術など、山形大学の保有技術を駆使したパネル化を進めています。
研究者からのコメント
応用実現に向けて、材料や部材の適合性の検証、太陽電池素子の試作、評価、特性及び信頼性の向上、プロトタイプ開発等を積極的に進めています。
研究実績
- 透明多色有機薄膜太陽電池の開発
- 低温形成逆型ペロブスカイト太陽電池の開発
- 有機/ペロブスカイト太陽電池材料・デバイスに関する研究発表、論文、知財等
参考URL
https://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/research-group/ (INOELホームページ研究グループ紹介ページ)
研究概要
新しい価値を生み出すフレキシブル有機エレクトロニクス製品に活用する要素技術を「ニーズファースト型」産学連携によって開発します。フレキシブル基板技術(超薄板ガラス、ステンレス箔、バリアフィルム)、水蒸気バリア技術、フレキシブル封止技術、塗布・印刷技術、ロールtoロール技術などにおいて最先端技術を開発し、フレキシブル有機ELデバイスや太陽電池等に適用して実証します。
研究者からのコメント
企業の技術(材料・部材・プロセス・装置など)を用いた有機エレクトロニクスデバイスを作製し、技術の評価・検証、課題抽出などを行います。連携企業の事業の拡大や新規時事業への参入に貢献します。
研究実績
2013年度~2020年度実績(累計)
- 連携企業数:260
- 成果発表件数:210
参考URL
https://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/F-consortium/home.html (研究室URL)
研究概要
液滴をデジタル制御により正確に配置できるインクジェットは、文書や写真画像を作成するだけでなく、布や建材への描画や電子素子、立体物の製造など、デジタルファブリケーションと呼ばれる次世代の製造技術として注目されています。高い粘度のインクを噴射する技術の開発、マイクロ秒という微小な時間で液滴が形成される現象の精密な解析に取り組んでいます。
研究者からのコメント
パターンをダイレクトに描画できるインクジェットの可能性を追求しています。パターンに機能を持たせるための材料とそれを用いた製品の発想が重要です。私たちの、材料、インク、装置、製品までインクジェットに関する知見をご利用ください。
研究実績
- 材料のインク化
- インクの物性評価技術の開発
- インクの吐出性、信頼性評価技術の開発
- 高粘度インク対応のインクジェットヘッド開発
参考URL
https://inkjet.yz.yamagata-u.ac.jp/ (インクジェット開発センターURL)
研究概要
生活をより充実させるために高い安全性や高エネルギー密度を有する次世代電池の開発に大きな期待が集まっています。当グループでは先端材料から固体電池のような次世代電池の研究・開発、さらに量産化プロセスの構築を企業と連携しながら行っています。基礎研究から量産化までの一貫したプロセスを開発するところが当グループの特徴です。
研究者からのコメント
当研究室ではエンドユーザーなどとの連携を積極的に進め、成果の産業化を推進しています。エンドユーザーとの連携は社会ニーズに沿った研究テーマを提案でき、また量産化プロセスやコストなど生産における課題が明確になるため、時間的なロスがなく産業化に向けた研究開発を進めることができるメリットがあります。
研究実績
- 学術論文:3報
- 特許出願件数:14件
- 招待講演:11件
参考URL
https://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/research-group/ (INOELホームページ研究グループ紹介ページ)
センターによる研究支援体制
産業、事業への貢献をファーストミッションとして、産学連携による実用技術開発を推進します。この目的を達成するため、企業要望を第一優先とした「ニーズファースト型」産学連携を一つの取り組みとして推進しています。大学の技術シーズを事業化する従来型産学連携(シーズファースト型)だけではない、イノベーティブな産学連携スタイルの確立を目指します。
また、企業ニーズに基づく産学連携取り組みや、革新的な基盤技術の実用化開発により、事業にダイレクトに結びつく世界最先端の有機エレクトロニクス実用技術を開発し、世界をリードします。研究成果は連携企業によってビジネスに活用いただけます。次世代を見据えた革新的な研究領域、事業領域でも産学連携研究を展開しています。
さらに、企業での研究開発や事業化など、豊富な経験を有する企業出身教員が、ビジネス視点に立った産学連携を推進します。研究開発だけでなく、教員の持つ豊富なネットワークを活かして、企業間の連携構築やユーザー企業への売り込みのお手伝いなども行っています。
拠点からのメッセージ
研究事例
有機ELパネル化技術
概要
これまでに、多くの企業の連携・公的資金の支援を受け、有機ELのパネル化技術に取り組んできました。パネル最大サイズは200mm角、真空プロセスに加え印刷・塗工プロセスの活用も推進しています。プロセス開発だけでなく、モックアップ試作に加えその回路設計(ドライバ)も独自に開発していることが当研究室の強みです。
連携期間、連携先
連携機関:2012年~現在
連携先:部材メーカー、材料メーカー、印刷関連メーカー、装置メーカー、自動車関連メーカー
成果
透明フレキシブル有機ELパネルを開発し、各種試作、展示会出展等を行ってきました。サポイン事業(2件)、NEDOイノベーション実用化(2件)、2021年度にJST START事業にも採択されており、実用化に向け研究を進めています。
活用できた拠点の特徴など、PR
単なる評価・作製技術だけではなく、事業を踏まえた新規技術開発を盛り込み、コア技術形成を行っています。大手企業だけでなく、サポイン事業等中小企業の強みも活かしながら研究開発を進めています。
高移動度有機トランジスタ開発
概要
有機トランジスタは移動度を高める開発が行われa-Si以上の性能が得られているものの、一般的には移動度は3㎠/Vs未満です。移動度を高めることで使用可能なアプリケーションが広がるため、高移動度化が望まれています。本共同研究では従来を大きく超える移動度を有する有機トランジスタの開発を行いました。
連携期間、連携先
連携先:ウシオケミックス
成果
p型有機半導体5H-21DNTTを用いて移動度15㎠/Vsの有機トランジスタを開発しました。この値は世界トップレベルであり、本有機トランジスタを利用すれば従来できなかった高速デバイスが実現可能となります。
活用できた拠点の特徴など、PR
当グループは有機トランジスタ開発を長年進めてきました。そのため、有機トランジスタの材料、作製プロセス、評価・分析に関する知識を構築しています。こうした私達の保有するスキルと企業のスキルを融合することで、高性能デバイスの開発を迅速に進めることが可能となります。
有機薄膜太陽電池の開発
概要
材料・デバイス・製造プロセスや材料の適合性評価を高効率化・高信頼性化する技術を開発しています。
連携期間、連携先
連携期間:COIプロジェクト、A-STEP期間内
連携先:企業共同研究など
成果
有機薄膜太陽電池の高効率化(>11%)、透明・多色有機薄膜太陽電池のプロトタイプ作製などPV EXPOやJFlex展にも出展しました。
活用できた拠点の特徴など、PR
山形大学の試作設備を活用し、有機薄膜太陽電池による「発電する窓」を試作、スマート未来ハウスに設置して実証します。
産学連携コンソーシアムの運営
概要
フレキシブル基盤技術研究グループでは、2013年度から企業と連携した各種コンソーシアム活動を進めてきました。現在は、参加各企業との一対一の連携を軸に、「ニーズファースト型」産学連携研究を進める「YU-FLEC」と、日本およびドイツの企業と取り組む国際連携型の「YU-FIC」を運営しています。
連携期間、連携先
YU-FLEC(山形大学フレキシブルエレクトロニクス産学連携コンソーシアム)
- 連携期間:2018年1月1日~2023年3月31日
- 連携企業数:10社
YU-EIC(山形大学フレキシブルエレクトロニクス日独国際共同実用化コンソーシアム)
- 連携期間:2017年10月1日~2022年3月31日
- 連携企業数:9社
成果
有機エレクトロニクス向けのフレキシブル樹脂基板用ハイガスバリア技術やフォルダブルスマートフォンなどに適用可能なフレキシブル封止技術などを参加企業と開発しました。
活用できた拠点の特徴など、PR
コンソーシアムの規約を設け、その規約に同意した各企業と山形大学とが一対一の共同研究契約を結ぶ枠組みとしています。共同出願における知財権に関しては、企業に対して「不実施補償を求めない」ことも特徴の一つです。
インクレオロジーと吐出特性の解析
概要
インクジェットで安定して利用できるインク液滴を形成するための、インク
連携期間、連携先
連携期間:2018年4月~2022年3月
連携先:インクジェットの材料、プリンター、噴射装置のメーカー11社
成果
インクジェットの安定性に関するインクの評価技術とインク物性計測技術の確立に取り組んでいます。
活用できた拠点の特徴など、PR
インクジェットの液滴噴射を評価する装置を4台、動的粘弾性、動的表面張力、分散安定性評価装置などインク評価装置を含め、インクジェットの評価装置を揃えています。
全固体電池用コーティング技術の開発
概要
企業との連携により全固体電池正極用のコーティング技術を開発しました。本技術は山形大学と第一稀元素化学工業株式会社とが開発した特殊セラミックスを含むコーティング溶液と、フロイント産業が開発したコーティング装置とを組み合わせたもので、ナノメートルの厚みでセラミックスを均一に正極へコーティングすることができます。本技術により全固体電池の寿命を従来のリチウムイオン電池と同等にできる可能性があります。
連携期間、連携先
連携期間:2015年~
連携先:第一稀元素化学工業株式会社、フロイント産業株式会社
成果
企業連携により全固体電池正極用のコーティング技術の開発に成功しました。これによって全固体電池の中で固体電解質が正極を分解することを防ぎ、全固体電池の寿命が短くなるという課題がクリアできました。また本技術は全固体電池だけでなく従来のリチウムイオン電池にも応用でき、電池寿命を長くするための有効な技術となります。
ウェットプロセスによるハイバリア技術
概要
有機ELは水蒸気により速い劣化が進行するため、フレキシブル化にはハイバリア構造が必要です。バリア構造は、無機膜を真空プロセスにて成膜するのが一般的ですが、当研究室では、ウェットプロセス・室温・真空紫外光焼成(波長172nm)によりハイバリア構造の形成に成功しています。本技術はバリアが必要な広い産業に利用可能です。
連携期間、連携先
連携期間:2016年~現在
連携先:部材メーカー、材料メーカー、公的プログラム
成果
すでにウェットプロセスとして世界最高のバリア性能を達成しています。光緻密化過程の詳細も分かってきており、現在急激にバリア性能が向上しています。同時にインクジェット等のデジタルファブリケーションの研究も進めています。
活用できた拠点の特徴など、PR
既存技術の延長ではない、産業における真のイノベーションを起こすための基礎的研究も推進しています。これら新規技術では公的資金を獲得し、産業応用可能なレベルまで開発できることが、当研究室の特徴です。
フレキシブル有機ELディスプレイ開発
概要
有機ELディスプレイを駆動する画素回路は一般には300℃以上の高温で形成するLTPSやa-Siが用いられます。本開発は150℃以下の低温で形成可能な塗布型有機トランジスタを画素回路に用いたバックプレーン駆動によるフレキシブル有機ELディスプレイの開発を行いました。
連携期間、連携先
連携先:材料メーカ
成果
50~100ppiの解像度を有する塗布型有機トランジスタによるバックプレーンを駆動し、世界で初めてマルチフォトンエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイの動作に成功しました。
活用できた拠点の特徴など、PR
有機ELディスプレイ用画素回路の設計、作製を担う研究者の集結、ディスプレイを作製するための高度な設備を保有しています。また、多くの企業や研究機関と研究開発を行うことで高い技術を保有しています。
ペロブスカイト太陽電池の開発
概要
ペロブスカイト太陽電池の作製技術の開発及び、高効率・高信頼性化を行っています。
連携期間、連携先
連携期間:NEDOプロジェクト期間内
成果
低温形成(150℃以下)が可能な逆型ペロブスカイト太陽電池において変換効率20%以上を達成しました。
活用できた拠点の特徴など、PR
山形大学の有する有機材料技術、デバイス化技術を活用しました。
有機薄膜太陽電池(OPV)の実用化
概要
株式会社 MORESCOと山形大学は、5年ほど前からOPVに関する共同研究を行っています。MORESCO社のOPV技術を開発フェーズから事業フェーズに早期に移行し、新規ビジネスとして立ち上げることを共同で進めてきました。
連携期間、連携先
連携期間:2016年~現在
連携企業:株式会社MORESCO
成果
脱炭素社会の実現に向けてOPVを製造し、潜在顧客に対してサンプル供給活動を進めています。最近では福島駅に1mx34cmのモジュールを40枚設置して発電を開始しました。
活用できた拠点の特徴など、PR
大学のシーズ、人材、保有する生産技術開発が可能な大型設備を有効に活用し、MORESCO社のニーズに合った協業を進めています。
基礎から応用までインクジェット技術全般
概要
インクジェット研究会ではインクジェットの幅広い情報を提供します。複数の企業が参加するコンソーシアムでは、高粘度インクヘッド開発と精密重合による顔料分散技術開発に取り組んでいます。また、個別の共同研究も多数取り組んでいます。
連携期間、連携先
2018年より継続。インクジェット研究会にはインクジェットに取り組んでいる企業20社以上が参加しています。
成果
インクジェット研究会は、年に10回程度のセミナー講演と実際にインクとヘッドを使ったインクジェットの実習を開催しています。材料をインクジェットで使うための助言や研究開発を行っています。
活用できた拠点の特徴など、PR
拠点にはインクジェットに関係する多数の装置があります。それらの装置を使った解析や評価の専門家がスタッフに揃っています。インクジェットに関する相談がありましたら気軽に問合せください。
高い安全性をもつ次世代電池の開発
概要
リチウムイオン電池にはポリオレフィン製のセパレータが使用されており、電池周辺の温度が上昇するとセパレータが収縮するため電池がショートし発火、破裂します。当研究室では耐熱性不織布、熱安定性の高い材料を用いて高い安全性示す次世代電池の開発に成功しました。
連携期間、連携先
連携期間:2015年~継続中
成果
企業連携により開発した耐熱性不織布や熱安定性の高い材料を用いて高い安全性を示す次世代電池の開発に成功しました。従来のリチウムイオン電池は釘差し試験や過充電試験において発火、破裂しましたが、開発した電池は同試験においても発火することなく、優れた安全性を示しました。
拠点からのコメント
産業、事業にダイレクトに貢献する産学連携を行うため、本センターは有機エレクトロニクス分野で豊富なビジネス経験を有する企業出身教員を揃えており、企業ニーズを最優先した「ニーズファースト型」産学連携の推進によって、多くの事業貢献成果を上げています。
拠点詳細
【拠点名】
有機エレクトロニクスイノベーションセンター
【住所】
〒992-0119 山形県米沢市アルカディア1丁目808番48
【HP】
https://inoel.yz.yamagata-u.ac.jp/
【連絡先】
INOEL事務室 yu-kouinoel@jm.kj.yamagata-u.ac.jp