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龍谷大学
Ryukoku Extension Center

拠点の特徴

  • 人工知能
  • 薄膜デバイス
  • ニューロモーフィックシステム

研究概要

ニューロモーフィックシステム(脳型人工知能)は、ハードウェアレベルから脳を模倣したコンピューティングアーキテクチャであり、大型で膨大な電力消費を必要とする現在のAIの課題を解決することが期待されています。アモルファス酸化物半導体を使った薄膜デバイスを用いて実現する研究を進めています。

研究者からのコメント

「自身の専門である電子工学・情報科学のみならず、脳科学や生理学といった幅広い領域の研究者の方とも意見を交わし、領域横断的な視点で課題を一つずつ克服しています。」
龍谷大学 先端理工学部 電子情報通信課程  教授 木村 睦

研究実績

  1. 三次元化した半導体チップを用い、人工知能の文字認識に関する学習実験に成功
    M.Kimura, et al., Multilayer Crossbar Array of Amorphous Metal-Oxide Semiconductor Thin Films for Neuromorphic Systems, IEEE Journal of the Electron Devices Society,784 – 790,2022
  2. メムキャパシタと自律局所学習を用いるニューロモーフィックシステム
    M.Kimura, et al.,Neuromorphic System Using Memcapacitors and Autonomous Local Learning,IEEE Transactions on Neural Networks and Learning Systems, PP 1-8, 2021
  3. アナログメモリスタと自律局所学習を用いるニューロモーフィックシステム
    M.Kimura, et al., Amorphous Metal Oxide Semiconductor Thin Film, Analog Memristor, and Autonomous Local Learning for Neuromorphic Systems, Nature, Scientific Reports,11,580, 2021
  4. アモルファスGa-Sn-O(α-GTO)薄膜デバイスのメモリスタ特性を発見
    M.Kimura, et al.,Memristive Characteristic of an Amorphous Ga-Sn-O Thin-Film Device, Nature, Scientific Reports, 9,2757, 2019

参考URL(上記研究実績に対応)

  1. https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-11657.html
  2. https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-9129.html
  3. https://www.elec.ryukoku.ac.jp/?p=1614
  4. https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-3225.html
  • ライフサイエンス
  • 環境DNA

研究概要

環境DNAによる生物モニタリング技術の応用として、採取した水試料から魚類等に由来するDNAを回収して生息している生物種を推定するという研究を行なっています。現在、環境保全や水産資源管理の現場で利用され始めており、自治体や企業との共同研究を通して 技術の社会実装を積極的に進めています。

研究者からのコメント

「10年ほど前に私と神戸大学の源利文先生とで最初に始めた研究ですが、今では色々な大学や企業でも使われています。国のアセスメント業務においても環境DNA技術を使った分析・評価が一部標準化されつつあるなど、市場性に期待しています。」
龍谷大学 先端理工学部 環境生態工学課程 准教授 山中 裕樹

研究実績

  1. H. Yamanaka, et al., (2022),Fine-tuning the performance of abundance estimation based on environmental DNA (eDNA) focusing on eDNA particle size and marker length. Ecology and Evolution. 12, 8.
  2. H.Yamanaka,et al., (2022).,Warm temperature and alkaline conditions accelerate environmental RNA degradation. Environmental DNA.
  3. 山中裕樹,他, (2020). 海棲哺乳類ジュゴンの環境DNA を定量するためのプライマーセットの開発. 保全生態学会誌, 2020年25巻1号.

参考URL

2022年度 びわ湖の日滋賀県提携 龍谷講座
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-11754.html

東洋経済ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/407223

News Picks
https://newspicks.com/news/4683978/body/

龍谷大学HP「先端理工学部山中准教授がネイチャーポジティブに寄与する取り組みの記者発表会を開催」
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/news/entry-14213.html

センターによる研究支援体制

研究支援

企業で開発部門の責任者経験のある産学連携コーディネータおよび、理工・農学系の教授や経済団体の責任者経験のあるフェローが在籍しており、技術から経営まで幅広い視点で支援できます。

施設・設備

RECは、インキュベーション施設として25室のレンタルラボ(実験室タイプ13、オフィスタイプ12)を設置しています。本レンタルラボの特徴は、大学の教員が1対1で企業の開発を支援する点にあり、教員との密接なコミュニケーションが魅力となり、常に80%前後の入居率です。

研究シーズ

先端理工学部は、化学工学・機械工学・電子工学・情報工学と多岐に渡った先進的な研究シーズを揃えています。また、農業の持続的な成長に貢献することを目的に、先端理工学部と農学部との協働・連携によりアグリDXも研究しています。

人材育成

企業の技術者の方々の学び直しの機会としてリカレント教育講座(有償)をオンラインで開講しています。また、ゼミ参加や学内設備の使用ができる受託研究員制度(有償)を設け、AIやデータサイエンスなど最新技術の習得を支援することで、企業の技術人材の育成にも貢献しています。

研究事例

金属加工品検査工程へのAI画像検査技術の導入

概要

企業はクルマのパワートレインに関係する金属部品を加工しており、その検査工程は人の目視検査で対応しています。しかし、目視検査は、検査人員の適正と集中力、生産の柔軟性に課題があり、画像検査による自動化を検討していましたが、パターンマッチングなど従来の画像検査技術では対応できませんでした。そこで、画像処理技術とAI(機械学習)技術の両研究で実績のある教員と共同研究を進め、成果がでてきました。

連携先

2020年9月~現在進行中 / 金属加工メーカー

成果

AI画像検査に最適な画像処理手法と機械学習手法を見出し生産工程へ仮導入中。

活用できた拠点の特徴など、PR

受託研究員制度を利用し、ソフトウエアについて基礎知識やセンスのある2名の技術者が、連携先教員のゼミにおいて、AI(機械学習)とそれに関するプログラムを習得し、AI画像検査技術のノウハウを蓄積されてきました。

産業用バルブ部材への摩擦圧接技術の応用

概要

バルブとそれを駆動するモーターとを連結するバルブ部材は、多品種少量製品であるとともに、高強度を確保するためにステンレスの丸材から削り出しで製造されています。丸材からの削り出しは材料と製造工数の課題を有しており、顧客からのコストダウンとリードタイム短縮の要望に対して、摩擦圧接技術によりこれら課題を解決しました。

連携期間・連携先

2019年10月~2022年3月 2年6か月 / 産業用バルブメーカー

成果

摩擦圧接技術を用いたバルブ部材は製品化中。さらに、摩擦圧接技術を用いて、半導体設備など新しい事業分野にアプローチ中。

活用できた拠点の特徴など、PR

バルブメーカーにとって事業化の目途が見えない中、高額な摩擦圧接設備の導入は課題です。一方、大学が摩擦圧接設備の導入を支援した金属加工メーカーは、出口の拡大を検討していました。そこで、大学が両メーカーをつなぐ産学産連携で取り組みました。

マイクロ波を用いた異物検査装置の高性能化

概要

企業はフィルム・不織布などの異物検査装置のメーカーですが、顧客の二次電池用フィルムメーカーから異物の検出限界向上の要望がありました。性能・コスト・製品化時期が重要であり、大学はマイクロ波のアンテナとシステム設計を、企業はそれら技術を実装した装置を開発検証し、その結果を大学にフィードバックするというコンカレントな開発を行いました。

連携期間・連携先

2020年4月~2022年3月  2年間 / 検査装置メーカー

成果

検出可能な異物の大きさは現行の1/2以下という目標に対して1/2.5を達成し、コストと開発時期も顧客要望を満足できました。

活用できた拠点の特徴など、PR

多岐に渡った先進的な研究シーズという特徴を活かし、マイクロ波の検出に必要な発振回路・検出回路・増幅回路・アンテナという要素をシステムとして開発できたことが、性能と開発時期の目標達成に大きく貢献しました。

液中プラズマと二酸化チタンを併用した水処理技術

概要

PFOSなど発がん性を有すると言われている難分解性化学物質が問題となってます。このような化学物質は、オゾンや紫外線等を併用した高度排水処理技術によっても処理が困難です。そこで、液中プラズマと二酸化チタンを併用した水処理技術の研究を行なっています。

想定連携先

水処理メーカー、化学メーカーなど

成果

プラズマが持つ熱エネルギーとプラズマ発生時の紫外光と光触媒(酸化チタン)の間で生じる正孔とOHラジカルを用いることで、240分後にはPFOSを90%近く分解できるという成果が得られました。

企業との連携で期待すること

  • 分解により生じるフッ化物イオンの回収技術の検討
  • 企業との連携による、スケールアップの検討や用途の開発

環境負荷の少ない重金属排水の処理・レアメタルの回収

概要

肥料に不可欠な元素であるリンや電子材料の高性能化に必要なレアメタルは、資源確保の課題があります。一方、現在の下水処理やレアメタルなどを含んだ重金属排水の処理には凝集剤が用いられていますが、後処理の課題があります。そこで、重金属排水に尿や下水を添加・混合することで、リン酸や3価の金属イオンを同時選択的に回収するとともに後処理の負荷も少ない方法の研究をしています。

想定連携先

水処理メーカー、重金属を扱うメーカーなど

成果

実験により効果が確認できたので、特許を出願しています。
特開2021-20148「尿または下水添加によるリンおよび金属の同時除去または回収方法」

企業との連携で期待すること

企業との連携による、スケールアップの検討や用途の開発

短時間・環境配慮型製法による高効率可視光光触媒

概要

可視光光触媒としてバナジン酸ビスマスやリン酸銀などがありますが、効率・生産性・原材料の危険性・製造時の廃液処理・材料コストという問題があります。それらを解決するために、優れた可視光応答性を示す金属バナジン酸を高い生産性で実現できる製法や、固相反応による安全かつ効率的なリン酸銀の製法を開発しました。

想定連携先

水処理メーカー、空調メーカー、塗料メーカーなど排水処理、屋内での消臭・除菌にかかわる装置や材料の開発をされている企業

成果

  • 特開2022-141332「内容は、塩化銀とリン酸の固相反応で製造するリン酸銀」
  • 特願2022-068887「内容は、バナジン酸と第3属~第11族金属との化合物」
  • 特願2022-068888「内容は、酸化銀とリン酸の固相反応で製造するリン酸銀」

企業との連携で期待すること

メチレンブルー水溶液以外の有機汚染物質の分解・脱臭・抗菌などの効果の検証に協力を頂きたい。

拠点詳細

【拠点名】
龍谷大学Ryukoku Extension Center

【住所】
〒520-2194 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1-5

【HP】
https://rec.seta.ryukoku.ac.jp/index.php

【連絡先】
電話:077-543-7743

【メール】
E-mail:rec@ad.ryukoku.ac.jp