拠点の特徴
研究概要
立命館大学では、研究成果の社会実装により地域課題を解決する「草の根型」の産学官連携(グラスルーツ・イノベーション)に重点を置く次世代研究大学を目指しています。これまで約20年にわたり蓄積してきた産学官連携の仕組みを活かし、地域の課題解決と活性化に繋がる研究連携を産学官地の総合知により創出するグラスルーツ拠点となることを目指します。
研究実績
- 地域課題の解決に取り組む草の根型の研究プロジェクトを支援するグラスルーツ・イノベーションプログラムGRIP)を実施(2021年度〜)
- Venture Café Tokyo と連携して地域イノベーション促進/交流プログラム「OIC CONNÉCT OPENING NIGHT」を開催(2022年7月)
参考URL
立命館大学産学官連携戦略本部
https://www.ritsumei.ac.jp/research/
グラスルーツ・イノベーションプログラム(GRIP)
https://www.ritsumei.ac.jp/research/activities/activity/grip/
https://www.youtube.com/playlist?app=desktop&list=PLtWYBTziKYWDhPf6KB4gHDig4hT0AP2hU
センターによる研究支援体制
研究支援
本拠点では、地域貢献拠点として滋賀(115名)、京都(115名)、大阪(29名)にスタッフが常駐しており、研究連携だけでなく地域住民に向けたイベントを実施するなど、企業・自治体・市民が集うコモンズのような役割を担うとともに、滋賀・京都・大阪の各組織が相互交流するためのハブとしての機能を有しています。産学官連携人材の定着を目的とした無期URA職の制度化をはじめ、産学官連携・研究プロジェクトを担う人材を地域企業から受け入れるなど、多様な研究支援人材の集積にも重点的に取り組んでいます。2021年度に立ち上げたグラスルーツ・イノベーションプログラムでは、教員・学生が課題を持つ地域に赴き、その場で自治体や企業を交えて課題の抽出から解決策の策定、実証実験、社会実装までを一気通貫で行っており、本学の優れた研究シーズをもとに地域企業の参画と地域の優位性を活かしたグラスルーツ型の社会実装を推進しています。産学連携や事業化に向けたマッチング後の研究・事業活動拠点として、10室のレンタルラボから構成される「産学連携ラボラトリー棟」と30室の事業スペースから構成される「BKCインキュベータ」を有し、BKCインキュベータの1室は登記場所として事業活動が行えるアクセラレーションルームとして整備しています。
研究事例
下水道圧送管点検のためのカメラ付き自走式ロボットの開発
概要
下水道設備の老朽化への対応について、草津市ではこれまで「100mm口径以下の下水道管」の中の状態を知る術がなく修繕計画の効率的な策定に課題を抱えていました。このようなニーズに対して、本学のヘビ型ロボットを開発している研究者とマッチングして、下水道を実証実験フィールドにしたヘビ型ロボットの配管メンテナンスの事業化検証を行ないました。
連携先
草津市、下水道管清掃企業、ロボット製造企業、ソフトウェア開発企業
活用できた拠点の特徴など、PR
本拠点の担当URA及び草津市コーディネーター事業の委託によるコーディネーター人材が協働し、本プロジェクトの組成から事業化までの研究連携支援のハブとなる役割を担うなど、本拠点の理念であるグラスルーツ・イノベーションに基づいた社会実装を体現しています。
産学農連携による競走馬由来の馬有機堆肥で栽培した米を使用した清酒の開発
概要
土壌肥沃度診断(SOFIX)はDNA量を基に測定した土壌中の微生物量と植物が吸収できる形に窒素、リンを変化させる土壌の力を数値化して評価することで最適な土づくりの科学的な処方箋を出すことに成功した世界で初めての手法です。このSOFIXの技術を応用して、餌や薬物などが厳しく管理される競走馬由来の馬有機堆肥を科学的に評価し、化学物質が含まれていない安全・安心な堆肥であることを証明しました。
連携先
草津市の農場、伊丹市の酒造メーカー
成果
SOFIXの技術を応用した堆肥品質診断(MQI)で評価された馬有機堆肥で栽培された滋賀県産「勝馬米」を100%使用した清酒「勝利馬」を草津市の農場と伊丹市の酒造メーカーと共同で開発しました。
農地の分析もSOFIXで行い、その結果に基づき、馬有機堆肥を施肥し、特Aになった水田でお米を栽培しています。
活用できた拠点の特徴など、PR
本大学教員の優れた研究シーズをもとに地域企業の参画と地域の優位性を活かした社会実装です。この清酒の普及が有機栽培の普及に繋がり、更には世界課題でもある農地土壌劣化の解決の一助にもなるため、持続可能な農業支援を行うことができるゼブラ型の社会実装の取り組みといえます。SOFIXをわかりやすく提供して我が国の農業に貢献するため一般社団法人SOFIX農業推進機構を立ち上げ、その支援を担った本拠点の人材も参画しています。
五島市における磯焼け解決に向けた駆除魚イスズミの猫用飼料としての資源化及びコスト評価
概要
長崎県五島市では、植食性魚類であるイスズミによって浅海岩礁にある藻場の衰退被害が生じており、食材利用にも向いていないため、有効的で持続可能なイスズミ駆除システムが確立されていません。この地域課題の解決に向けて、コストも考慮したイスズミのペット用飼料の資源化を目指した産官学民の研究連携をスタートしました。
連携先
九州における漁業仲卸企業、ペットフードメーカー、五島市役所、地元NPO
活用できた拠点の特徴など、PR
九州の自治体や企業で連携し、イスズミの漁獲から処理、ペットフードの製造・販売までの各段階にかかるエネルギーやコストを算出するとともに、サプライチェーンを地域で完結させ、事業化を実現するための最適解を模索しています。
軽度認知障害・認知症の人と家族に対するレクリエーションアプローチによる心理社会的支援プログラム開発
概要
軽度認知障害(MCI)または認知症の人と家族の社会参加の場の設定による認知症の進行予防、認知症の人と家族のストレスマネジメントを目的とした集団型心理社会的支援プログラムの開発を産学官民の連携で行っています。
連携先
向日市役所、草津市役所、当事者活動団体、研究開発法人国立長寿医療研究センター、エンタテインメント企業
成果
試行的にプログラムを実施した結果、MCI・認知症の人と家族の満足度の平均は75 以上(フルスコア 100)、セッション毎の感情評定(一時的気分変容尺度)は、おおよそ肯定的な変化が見られました。また予備的な効果検証として、認知機能の改善、家族の抑うつの改善が確認されました。今後、京都府・滋賀県・愛知県の 3 か所で無作為割付試験によるプログラムの効果検証を実施する予定です。
活用できた拠点の特徴など、PR
本プロジェクトはアクションリサーチであるため、地域での実践活動が基軸となります。行政機関、当事者活動団体、企業と協働で、認知症予防、家族との関係改善、家族のストレス軽減など当事者の心理社会的課題の改善に繋がるプログラムの開発を目指しています。
拠点詳細
【拠点名】
立命館大学 産学官連携戦略本部
【住所】
〒604-8520 京都市中京区⻄ノ京東栂尾町8番地
【HP】
http://www.ritsumei.ac.jp/research/collaboration/headquaters/
【連絡先】
立命館大学研究部BKCリサーチオフィス / 〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1 / Tel: 077-561-280