拠点の特徴
地域課題解決への対応
研究概要
本センターでは,南九州及び南西諸島域に「オープン実証ラボ・実証フィールド」を設置し,地域企業等との共同研究「実証プロジェクト」を通じて地域で技術の可視化を行い,技術の地域実装を推進することで「知の深化」を図ると共に,観測データのオープン化や技術セミナー,ラウンドテーブル,タウンミーティング等を通じて地域とのコミュニケーションを活性化させることで,地域に眠る潜在的な課題「マイクロニーズ※」を探索・発掘する「知の探索」を推進してきた。
研究者からのコメント
本センターの地域ネットワーク,情報収集力及び課題発見能力に長けたタスクダイバーシティ型コーディネーターの存在により,「知の探索」を通じて,研究の幅が広がった。
研究実績
実証プロジェクトの展開例(図1)として,徳之島における人工衛星データを用いたサトウキビ農業のIoT化プロジェクトを起点に,製糖工場の生産管理の効率化に向けたハーベスタのリアルタイム位置情報の収集,高精度位置情報モジュールによる圃場地形情報の収集,伝統文化“闘牛” や獣害生物“リュウキュウイノシシ” 等の未利用肉の機能性評価と利用,離島圃場における地下ダム水の適切利用技術の開発,放牧牛の飼養,新しい熱帯作物の栽培等への発展がある。
1)2022年産学連携学会業績賞受賞
2)地域に眠る潜在的課題「マイクロニーズ」を起点とした地域イノベーション(産学官連携ジャーナル,2021 年6 月号)
3)藤枝 繁,中武貞文,2022,「潜在的ニーズ(マイクロニーズ)」と先端科学技術とを「繋ぐ」,電波技術協会報2022 年3 月号,No.345, 4-7.
参考URL
鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター2022年度活動報告書P.23 参照
https://ir.kagoshima-u.ac.jp/records/16583
スタートアップ創出
研究概要
2024年5月1日現在,本学には13社の認定ベンチャーがあり,そのうちライフサイエンス分野7社,食品系2社,建築・建設系2社,省エネルギー機器1社,データ分析1社となっている。
研究者からのコメント
産学交流プラザ棟(1F,3F),マークMEIZANに設置されているベンチャービジネスラボラトリー(インキュベーション施設)に8社が入居している。
研究実績
認定ベンチャー12社内訳:化粧品・医薬部外品・医療素材等開発,メディカル研究ツール開発,創傷治療薬開発,ガン・難病治療薬開発,インフルエンザ・コロナウイルス検査キット開発製造販売,生体材料開発,食品製造・安全,機能性食品製造,建設技術支援,建築・教育,省エネルギー機器開発・販売,知財データAI分析
参考URL
鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター2023年度活動報告書P.38-39 参照
https://ir.kagoshima-u.ac.jp/records/2000268
センターによる研究支援体制
研究支援
本センターは,本学における研究支援・産学地域連携の中核的組織として,リサーチアドミニストレーター,産学連携コーディネーター,地域連携コーディネーター,事業化支援コーディネーターおよび知的財産専門家(弁理士)等を配置し,また部局担当者制による部局相談窓口を一本化することで,学内研究者への外部資金獲得等の研究支援から,研究シーズと企業ニーズとのマッチングによる共同研究の推進,知的財産の保護・管理およびそのライセンスの推進,大学発ベンチャー創出まで,一体的で切れ目のない支援を行っている。また本学の強みである医療・創薬領域に対しては,本センター外の教員を含む組織横断型支援チーム「K-med」を結成し,個別・重点的な支援を実施している。
施設・設備
本学の特色である高度化・複雑化する地域課題の解決に対しては,これまでの地域連携をもとにした地域とのネットワークを生かして地域に「オープン実証フィールド・ラボ」を設置。また附属施設として温帯・亜熱帯での実証実験等が可能な農場,果樹園,牧場,演習林,動物病院,練習船,臨海実験所等を有しており,研究成果の可視化を通じて技術の地域実装を推進している。
研究シーズ
2024年度より,学内の優れた研究シーズのPRを目的に先端研究プロジェクトを選抜し,先端研究拠点を形成する「先端研究集成館事業」を開始した。
人材育成
アントレプレナーシップ教育から,学生・教員を対象としたビジネスプランコンテスト「KADAI STARTER’S PITCH」を主催するとともに,大学発ベンチャーの認定及びインキュベーション施設(7研究室,9実験室)の管理を行っている。
研究事例
酵素反応によるナイロンケミカルリサイクル技術
概要
理工学研究科 化学プログラム 加藤太一郎 准教授は,自ら保有する独自の化学処理による剥離技術と酵素的ケミカルリサイクル技術を用いて,これまでリサイクルが難しかったナイロン製品やナイロン複合/混合素材のリサイクルを目指している。
連携期間
リサイクル企業,プラスチックメーカーとの共同研究
成果
これまでリサイクルが難しかったナイロン複合/混合素材について,分離からモノマー化(ナイロン6,ナイロン66)までの道を確立した。
活用できた拠点の特徴など、PR
企業とのネットワークを通じた共同研究化を支援
下水道再生水を用いたカリウム低減野菜の栽培技術
概要
農学部 渡部由香 准教授は,消毒・濾過済みの下水道再生水が持つ低濃度の肥料成分と微温水という特徴を生かして,腎臓疾患患者が求める低カリウム野菜を安価に生産する技術を開発。
連携先
鹿児島市下水道局と実証試験を実施中,また薩摩川内市下水道局での実証試験を予定
成果
2024年3月現在,21品目の野菜の栽培に成功し,その中でも小松菜,大根,玉ねぎ,白菜などでカリウム低下度が大きいことを確認。
活用できた拠点の特徴など、PR
2023年度より,本センターの「オープン実証フィールド」として運用
拠点からのコメント
拠点詳細
【拠点名】
鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター
【住所】
〒890-0065鹿児島県鹿児島市郡元一丁目21-40産学交流プラザ内
【HP】
https://www.krcc.kagoshima-u.ac.jp/
【連絡先】
099-285-8491