大学を知る

愛媛大学
イノベーション創出院、地域協働推進機構、研究・産学連携推進機構

拠点の特徴

  • 紙産業
  • セルロースナノファイバー
  • 機能紙

研究概要

紙産業イノベーションセンターでは、紙産業界が抱える課題の解決と社会を支える技術、材料、製品開発を念頭におきながら、セルロースナノファイバー(CNF)に代表される新素材や高機能紙、産業廃棄物の有効利用等に関する研究を行っています。

研究者からのコメント

紙は生分解性、軽量性、安全性など高い材料的ポテンシャルを有しており、電気・電子分野、自動車分野、医療・介護分野、食品分野等の幅広い産業への用途展開を目指し、紙技術の高度化や新規紙製品の開発を推進しています。

研究実績

  • CNFの製造技術や用途開発
  • 診断・検査用ペーパーデバイスの研究開発
  • インキ消去機能紙の研究開発
  • ペーパースラッジ焼却灰の有効活用法の研究開発
  • プラスチック使用量削減の技術開発

参考URL

愛媛大学紙産業イノベーションセンター(http://piice.ccr.ehime-u.ac.jp/

  • 南予水産
  • スマ

研究概要

サーモンと人気を二分するマグロ類に着眼し、南方系小型マグロ類「スマ」を選び、地域企業が既存設備を使って養殖できる「儲かる」戦略的魚種と位置付けて、育種−完全養殖に関する研究を推進しています。

研究者からのコメント

養殖スマは「全身トロ」と評され、刺身用高級食材として注目されており、既に愛媛県産養殖魚「愛育フィッシュ」の仲間入りを果たしました。今後、生産、流通、消費の各現場で求められる高品質なスマを産業拡大に向けて量産するシステムを構築していきます。

研究実績

  • 天然よりも2ないし3ヶ月産卵を早める早期産卵、種苗生産技術を開発
  • 育種−完全養殖による種苗生産サイクル構築
  • 高成長スマ系統「南水1号」樹立
  • 高品質化育種技術開発中

参考URL

  • 植物工場
  • 農業ロボット

研究概要

植物工場研究センターは、2009年に経済産業省および農林水産省の支援により、農学部がある松山市「知的植物工場基盤技術研究部門」を、宇和島市に「植物工場実証・展示・研修部門」を設置し、ICT、ロボット、AIなどの最先端技術を活用した超スマート農業の確立を目指すとともに、これらの技術を習熟した人材の育成を行っています。

研究者からのコメント

わが国の農業は、スマート化に関する技術開発をベースに大きな変革期を迎えています。新たな農業生産システムの構築を共に目指しましょう。

研究実績

  • トマト個体群を対象としたつり下げ型多元的植物生体画像情報計測ロボットの開発
    -仕様と動画取得安定性の評価-
  • SPAD値を用いた栽培時期キャベツの生育状態可視化
  • 太陽光植物工場におけるマルチオペレーションロボットの開発
    -トマト収穫ロボットにおける支持棚の改良および深層学習を用いた果実検出-
    -収穫時間短縮のためのキュウリ収穫ユニットの開発-

参考URL

センターによる研究支援体制

研究支援

中小企業の多い地域産業界では開発体制が脆弱であり、新規技術の社会実装には積極的な支援が必要です。公的資金活用や知的財産の権利化等を支援し、出口企業が求めるニーズのヒアリングを共同で実施し、出口企業を巻き込んだ共同研究へと発展させていきます。

施設・設備

各センターで教育・研究に必要な施設や設備を所有しており、指導できる研究員がいます。

研究シーズ

文系から理系まで幅広い専門分野を持つ総合大学の特長を活かして、多様な地域ニーズに対応する体制を構築しています。

人材育成

人材育成に関しては、地域企業の若手人材を受け入れ、製品化や事業化の実務経験を有する教員が、技術スキルに加え、ビジネススキル向上を目的に企画から販売まで一貫して習得できるよう工夫しています。大学の教育資源を活かしながら自治体等と組織的に連携し、社会人向けに技術指導や人材育成講座も実施しています。

上記以外で企業に対してPRしたい拠点の特徴

地域密着型センターと総称するセンター群を愛媛県内各地に設置し、愛大方式(実際にそのセンターが必要な地域に設置する体制)で多面的な活動を進めています。

研究事例

CNF連続脱水装置の開発

概要

CNFは含水率が高いため、輸送コストの高さやシート・成形体化に課題を有していました。そのため、実用化に向けて効率的な連続脱水・シート化技術が求められており、我々は連続脱水装置に乾燥システムを配備したCNF非加熱連続脱水・シート化パイロットマシンを開発し、CNFシートの連続生産を可能にしました。

連携期間、連携先

製紙企業、製紙機械メーカー

成果

2017~2019年度の環境省事業においてCNF連続脱水装置を開発し、産官学共同で特許出願し登録に至ると共に、その後も共同研究を継続して、CNF連続脱水装置の運転によってCNFスラリーの連続脱水・シート化に成功しました。

活用できた拠点の特徴など、PR

CNFについては、地元企業との共同研究を通じて社会への実装を試みてきました。現在では、四国中央市に拠点を置く複数の企業から、それぞれ独自のCNFが製造されるとともに、その特長を活用した製品が販売されています。

『えひめ水産イノベーション・エコシステムの構築』~水産養殖王国愛媛発、「スマ」をモデルとした新養殖産業創出と養殖産業の構造改革~

概要

文部科学省補助事業「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」により、スマの完全養殖による新養殖産業を生みだし、地域の経済循環システムを創出することを目的とした研究です。この包括的プログラムに至る過程では文部科学省、農林水産省のプロジェクトにてスマ養殖の基盤研究、技術開発を実施しました。

連携期間、連携先

2017〜2021年度、愛媛県、愛南町、愛南漁業協同組合、養殖企業

成果

愛媛大学が主導して、完全養殖スマから高成長、低水温耐性の特性を持ち、製品の品質のそろった「南水1号」系統を作出し、愛媛県が担当する大量種苗生産により、産業規模での種苗供給を可能にしました。種苗は養殖企業にて育成され、愛南漁業協同組合を通じて8ヶ月後から出荷されるサイクルを構築しました。

活用できた拠点の特徴など、PR

南予水産研究センターは養殖産業の中心に設置され、地域水産業の課題に直結した問題解決型研究を推進するレジデント型研究拠点であり、それを中核とした強い産学官連携が形作られている全国でも無二の組織です。

戦略的スマート農業技術等の開発・改良/急傾斜農業の超省力化に向けた小型農業ロボットシステムの開発

概要

急傾斜地での過酷な労働環境の改善に向けて、急傾斜地が主要な産地として栽培されているカンキツ、シキミ栽培の超省力化、高品質生産に向けた小型農業ロボットシステムの確立を目指しています。ドローン防除の高精度化と急傾斜地対応の自律走行ユニットの実用試験機の開発を進めています。

連携期間、連携先

令和4年10月21日~令和7年3月31日(実施中)

成果

ドローン防除では、カンキツとシキミの樹形の三次元情報と流体力学に基づいたシミュレーションをを行い、ドローンの飛行ルートを最適化すると共に樹形改造により、防除価の改善を図りました。急傾斜地対応の自律走行ユニットについては、重心位置制御機構の搭載により、急傾斜地での安定走行を実現しました。

活用できた拠点の特徴など、PR

わが国の食料安全保障を確保するには、平地だけでなく傾斜地における農業生産システムの再構築が急務です。本研究を皮切りに急傾斜地農業の自動化を図り、食料の安定供給を目指していきます。

診断・検査用ペーパーデバイスの開発

概要

高齢化に伴う在宅での健康管理やコロナ等の感染症拡大防止のため、迅速な疾病診断法の開発が重要となっています。紙産業イノベーションセンターでは、精密機器や電気を使用せずに、必要な時に、必要な場所で、検査や診断が可能な紙製簡易検査キットの開発を行っています。

連携期間、連携先

製紙会社

成果

毛細管現象で液体を吸水する紙素材を用いて、印刷技術を活用することにより、検査液が流れる流路を意図した形状で大量生産できる技術を開発し、既に複数の特許が登録されています。

活用できた拠点の特徴など、PR

地元企業に本技術を提供しながら実製造に向けた共同研究を進めており、この新しい技術及び製品を愛媛から全国に、そして世界に発信し、いつでも、どこでも、安心して健康チェックができる簡易検査キットを提供していきたいです。

高品質養殖魚の育種・完全養殖サイクルの構築と出荷社会実装 農林水産省「オープンイノベーション研究・実用化推進事業」【開発研究ステージ(開発重要政策タイプ)】

概要

南予水産研究センターでは、魚の味を基軸とする「総合型品質評価」を若手研究者が中心となって構築しました。その科学的基盤に基づき、年齢、季節、成熟、餌料、出荷法など味や品質に影響する要因を解明するとともに高品質な系統を作出して、市場が求める良質な養殖魚を周年提供可能にする取り組みを進めています。

連携期間、連携先

2023〜2027年度、愛媛県農林水産研究所水産研究センター

成果

「総合型品質評価」や新たな育種技術である「次世代育種システム e-Breed(商標)」を新規養殖対象種「スマ」を用いて研究開発しました。この技術を産業規模の大きいマダイ、ブリへ展開しています。

活用できた拠点の特徴など、PR

日本有数の養殖基地である愛媛県南予地域を対象にレジデント型研究拠点である南予水産研究センターの機能を最大限活用しています。

NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/機械負荷制御導入による電動農機・農業ロボットの最適エネルギー・作業管理技術の開発

概要

農業機械における電動化を①高トルク農機、②低トルク農機、③トルク分散農機、④小型農業ロボットに分類し、それぞれ電動化のための研究を実施しています。作業機の負荷状態をモニタリングしながら速度制御できるコントロールユニットにより、機械負荷制御導入による電動農機の最適エネルギー管理技術の開発を進めています。

連携期間、連携先

令和3年4月1日~令和5年3月31日

成果

電動農業機械やロボット農業システムの社会実装を確実にすることを目的とし、農業機械の電動化については、負荷電流データから機械負荷や作業精度の低下を検出するアルゴリズムを構築しました。急傾斜地向け小型農業ロボットシステムについては、ロボット開発とロボットに適した園地設計について相互的に開発を進め、社会実装に向けたフェーズにつなげることができました。

活用できた拠点の特徴など、PR

愛媛県農林水産研究所および愛媛大学農学部附属農場にロボット作業がより効率的にできるロボット高適応性園地を設置し、早期の社会実装に向けた実証試験に加え、モデル園地としての利用により、本技術の普及・拡大を図っています。

拠点からのコメント

現在の社会連携推進機構は、産学連携と地域連携の双核的な機能を果たしていますが、今後益々の“まち・ひと・しごと創生”に貢献できる“地域産業イノベーションを創出する機能強化”を目指し、組織の体制強化を行う予定です。研究の成果によって関係する産業に新技術や製品を生み出し、さらに、社会や市場に好循環を及ぼすこと、すなわち“イノベーション創出”に対して、当拠点が中心的な役割を果たし、地域の企業等とのネットワークの“ハブ”として機能強化を図ります。

採択されて良かったと感じられた点

拠点間のネットワークがあり、相互交流によって有意義な情報収集ができました。また、この度拠点として認定されたことで、愛媛大学の各センターがもつ研究の独自性を認めつつ、組織的にイノベーション創出を担っていく体制の強化につながりました。

拠点詳細

【拠点名】
愛媛大学
イノベーション創出院、地域協働推進機構、研究・産学連携推進機構

【住所】
愛媛県松山市文京町3番

【HP】
https://ccr.ehime-u.ac.jp/crp/

【連絡先】
089-927-8145
renkeika@stu.ehime-u.ac.jp

パンフレット(PDF)をダウンロード